天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

カセットテープに洋楽をエアチェックしていた世代必読のエッセイ集

 

田舎でロックンロール

田舎でロックンロール

 

この本は大変面白い小説を書く奥田さんが、自らの少年時代を綴ったエッセイ集です。
具体的には1972年から1977年、中学1年から高校3年までの間に出会った洋楽ロックの事を中心に書いている一冊です。読んでみたら、オクダ少年にとても親近感をもってしまいました。なぜなら洋楽ロックとの出会いや付き合い方がまるで自分の事を書いてるのか?と思ってしまうくらい似通っていたからです。

 

筆者と自分では年齢がひとまわり離れていますので出会ったアーティストは違ってはいますが、感じた事やなんかがほぼ一緒なんですね。FM放送から流れるヒットチャートをノートに記録したりカセットテープにエアチェックしてみたりレコード店でLPレコードを視聴させてもらったり雑誌「ミュージックライフ」を穴が空くほど眺めたり・・・。TLEX、ビートルズQueen・・・・・。まさに同じような事をしていたし、
同じような何かに憧れがあって。そう感じるのは僕だけではないでしょうね。LPレコードやラジオから聴こえてきた洋楽ロックは今YouTubeで聴ける音楽とは何かが絶対に違っていたような気がします。その点懐古趣味とは云わせません(笑)

 

巻末にこのエッセイで書かれていた出来事をモチーフにした短編小説が収録されています。小説家が自分の体験を、どのように小説というカタチに昇華させていくのか?という視点からも興味深く読めました。

 

2016/4/1