天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

エチオピアの山羊もコーヒーが大好きという話

朝起きたてのコーヒーはうまいですよね!誰がこんな素晴らしいものを発明したんだ、と感謝したくなる(^o^)しかしなんで甘くもないし、ただ苦いだけで、栄養もなさそうなこの黒い液体を、我々はありがたがって飲むんでしょうかね?不思議だ。で、コーヒーといえば我々人間以外にも同好の士がいることはご存知でしょうか?それはエチオピアの高地に住むヤギさんです。彼ら彼女らもコーヒーが好物なようでコーヒーの実をむしゃむしゃと食べているらしいです。コーヒーの実自体には栄養があるんでしょうか?それともエチオピアのヤギさんたも我々のようにカフェイン中毒なんでしょうか?

 動物といえばこんな話も。シベリアに住むトナカイはベニテングダケという幻覚作用をもたらすキノコが大好きらしい。これこそ栄養のためではないらしい。なぜならベニテングダケを摂取しても神経に作用するのはほんの一部で、ほとんどは尿として体外に排出される。で、その尿をめがけて他のトナカイが、えらい勢いで集まって集団でラリるということ(笑)。こうなってくると、ベニテングダケが栄養を求めてベニテングダケを求めるのではなく、摂取することによる、何らかの神経的作用つまり「快感」を求めている、って事なんでしょうね・・・・というような面白ネタが書いてあるのが今日ご紹介する本。

 

快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫)

快感回路---なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか (河出文庫)

 

 

 さきほど橘玲氏の幸福論についての本をご紹介しました。

lifeofdij.hatenablog.com

幸せってものも、考えてみれば、何らかの意味で「快い」からこそ、幸せを感じるんでしょうね。つまり「幸せ」という現象の成分は「快楽」からできている、とも言えるのではないでしょうか?で、人間は個体として生き延びる、または種の存続に対して、マッチした行動をとると「快楽」というご褒美を得るように設計されている。食べたり、寝たり、セックスしたり・・は気持ち良い。でも、この「快楽」っていうご褒美、いわゆる「品性方向」な行動以外にも「快楽」というご褒美がもらえたりするところがなんともトホホですよね。
 
 どういうことかというと身体に良い美味しい食べ物を食べれば快を得るのは当然だけど、また同時に不健康極まりないジャンクフードを食べても快を得る。しなくちゃいけない事を全部うっちゃってベットの上でゴロゴロするのも快だし、また誰に頼まれたわけでもないのに身体を酷使して運動をするのも快を得る手段。そして悪知恵を働かせてムカつくライバルを蹴落としても快を得る事ができるし、自分の利を捨てて他者に貢献する事でも人は快を得る。そう考えると「快楽」っていうシステムは謎だらけ。で、その訳のわからない「快楽」の暴走によって、ギャンブル依存症とか、ドラッグ中毒っていう問題が生まれてくる。本書では、過食、ギャンブル、ドラッグなどの依存症になりやすいものについてからも「快楽」を考察しています。

 そのあたりの謎の一端を解こうと、専門的な神経科学の情報をもとにこの本では研究しています。私そちらの方面詳しくないので理解できているのかといわれると厳しいですが全体的には面白い一冊でした。特に最後のほうで著者が面白いことを書いてます。それは将来野球帽のような「快楽誘発帽子」みたいなものが実用化されるのではないのか?という発想。その帽子をかぶって、どんな快感が得たいかと指示すれば、帽子に埋め込まれたセンサーが作動することによって、その快感を引き起こす脳の一部分を刺激して、お望みの気持ちよさを体験させてくるという装置。そんな帽子が発売されたら皆さん被りますか(笑)ただ著者はそのアイデアに自分ツッコミをいれていまして、そんなに簡単に快楽を得られるようになったら、なんにも気持ちよくなくなるかもね、ということ。確かにそれはあるかもと私も。快楽ってたぶん、なかなか手に入らないものが、どうにか、こうにか、手に入れて、そこで初めて本当の意味で満足して気持ちよくなる、つまり「幸せ」になるんじゃないのかな・・・と。