天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

速読実践4【悪名の棺 笹川良一伝 工藤美代子】

実践的な速読を研究中です。今回読んだのはこちら。

悪名の棺 笹川良一伝 (幻冬舎文庫)

悪名の棺 笹川良一伝 (幻冬舎文庫)

 

 この本はかなり面白い一冊でした。私の世代からすると、笹川良一さんという人物はTVコマーシャルの「一日一善」「人類みな兄弟」のおじいちゃんというイメージでした。

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ところがこちらが年齢を重ねていって、世間のことを少しずつ知っていくと、あの人類みな兄弟のおじいちゃんは、只者ではなかったらしいぞ、ということに少しずつ気がつきはじめました。しかしその実態はあまり耳に入ることもなくいつの間にか忘れていたわけですが、今回この本を読んで、笹川良一さんという人の破天荒な人生には強烈なほど惹きつけられました。右とか左とか、政治信条みたなものは私あまりよくわからないんですが、とにかくこの人の生き方が濃いんですね。

生涯をエンタメ性強く時系列で追ったこの本を読んでると、ノンフィクションというよりも、本宮ひろ志のマンガに出てきそうなキャラクターの一代記を読んでるような気がしてページをめくる手を止められない。

ということで、さぞ速読も捗ったのか?と思われそうですが、あまりスピードは出なかったようです。以下にデータを記します。

今回の読み方は1行読み。メトロノームのテンポは100。読み方は戻りOKというルールで読みました。

この本(単行本)は1ページあたり約400文字。ページ数は約400ページ。総文字数は約160000文字。で、かかった時間は2時間40分(160分)。ということで、1分あたり1000文字となりました。

理解度6(10点満点)響き度6(10点満点)本の難易度3(10点満点)というところです。

さくさく読めた気もするのですが、意外に1分あたりの文字数が稼げていない。なんでだろう?別に速度重視ということではないのですが、速読技術向上のためには今後考えていきたいところです。

さて余談になりますが、笹川さんは黒幕とかフィクサーと言われた人物ですが、同様にそう言われた児玉誉士夫さんという人物もこの本に登場してきます。この児玉誉士夫村上春樹の【羊をめぐる冒険】の中に出て来る、怪しげで、どえらい権力を持っていそうな先生のモデルである、ともいわれていますね。

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

 

 昔、この羊をめぐる冒険を読んだ時、あの先生のモデルが一日一善の笹川じいちゃんだよ、というデマを友人に聞かされたことがあって、衝撃を受けた記憶があります。

まぁ、笹川良一さんと児玉誉士夫はこの本にも書いてありますが、因縁浅からぬ関係であり、その友人の話もまるごとデマではなかったんだなぁということも感じました。春樹さんも、特別児玉誉士夫個人をモデルにしたというよりも、児玉さんや笹川さんといった、見えない位置から国政に影響力を及ぼすもの、というイメージであの先生というキャラクターを作ったのかもしれないですしね。

で、さらに余談は続きますが、春樹さんというと毎年ノーベル文学賞候補にあがりますが残念ながらまだ受賞はされていません。そのノーベル文学賞を日本人としてはじめて受賞した川端康成笹川良一が幼馴染であった、というエピソードはなかなかドラマティックで面白いな、とも思いました。