速読と熟読に関する実験
本の読み方というのは読む人それぞれの自由かと思います。なので誰にとっても、これが正解だ〜!という唯一の方法を決めつけるのは無意味かと思います。
しか〜しワタクシの場合、読みたい本が家にも書店にも図書館にもAmazonにもほぼ無限大にあります。なので読書時間が生活時間を侵食してしまい、結果、ヒトとしての生活がおろそかになります、とほほ。
ということで、いかに効率良く面白本をたくさん読めるか?ということと、ヒトとして最低限マトモに暮らすことを両立させるために、読書法を日々研究することは欠かせません。
なので今回ひとつ実験をしてみました。
簡単に言いますと同じ短編小説を何通りかの別の方法で読んで時間を計測し、読後感を比較してみる、という実験です。今回の実験に使った本は・・・。
この文庫本は短編集なんですが、その中の一編「ギア」という34ページの小説を何通りかの方法で読んで時間を計測しました。
その方法とは
①素読み。特に意識せず普通に読んでいく。
②速読(自分にとって)漢字を中心に飛び飛びで読んでいき大意をつかむ読み方。わからない箇所があっても先に進む
③ライン引き読み。以前エントリしたこの読書法。
④熟読。印象に残ったところをカラー分けして読む方法。
で、その結果は・・・。
①素読み。特に意識せず普通に読んでいく。
↓
15分。1分あたり約1130文字。
読後感→まぁそこそこおもしろい。しかしシュールな世界があまり理解できず物語世界に入りきれていない感あり。
②速読(自分にとって)漢字を中心に飛び飛びで読んでいき大意をつかむ読み方。わからない箇所があっても先に進む
↓
8分。1分あたり2125文字。
読後感→素読みで大意はつかんでいるので、ぽんぽん、さくさくと読める。だけど特に感情は動かされない。
③ライン引き読み。
21分。1分あたり809文字。
読後感→①②で読み落としていた箇所がいくつもあることに気がつく。作品の面白みが伝わる。
④熟読。印象に残ったところをカラー分けして読む方法。
30分。1分あたり566文字。
読後感。細かい描写や、行間も意識して読んだので面白さと臨場感が一気に高まり、物語世界に没入できる。
というような結果でした。
まぁ当たり前といえば当たり前なんですが、時間とペンによるチェックという手間をかけるほど面白さは増すという結果でした。
しかし②の速読と④の熟読ではほぼ4倍ほど時間の開きがある。これは短編なので大した差ではないですが、10倍の長さの300ページ前後の長編だと80分(1時間20分)と300分(5時間)の差になるということですね。これはかなり大きな差ですね。ということで、まだまだもっと良い方法を考えていかないとなぁ、という実験結果でした。
で、世の中には読書の達人は多いですけどワタクシがシンパシーを感じるのは佐藤優さんの読書スタイルです。
この記事にも書いてありますが、佐藤優さんは月に300冊は目を通すけど、実際に熟読するのは月に4〜5冊程度だということです。達人中の達人でもそのくらいの冊数なんですね。でも、佐藤さんはその4〜5冊を選ぶために300冊の本に目を通しているんですね。ということで、思うのは速読と熟読をうまく使い分けて、自分にとって読むべき本をいかに見つけるか、ということなんでしょうね。