【書評】SOLO TIME「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である
SOLO TIME (ソロタイム)「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である
- 作者: 名越康文
- 出版社/メーカー: 夜間飛行
- 発売日: 2017/06/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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インパクトがあるタイトルです。だけど「ぼっち最強!」 っていうことではないようです。当たり前ではありますが、人は群れという社会がなければ生きていけない。だけど、たまには意識的に群れから離れて「ソロタイム(ぼっち時間)」を過ごしたほうがいいですよ、という話のようです。
面白いなぁと思ったのは「自分」と「感情」は別物だという考え方。どういうことかといいますと・・・。
著者は「四頭立ての馬車」という例えで表現しています。感情とは馬車を引っ張る「四頭の馬」。馬たちは、それぞれがてんでバラバラに動こうとします。猛進しようとする馬、動こうとしない馬、右へ行こうとする馬、左へ行こうとする馬。そのままでは、馬車はどこへ行ってしまうのかわかりません。で、ついつい感情という暴れる馬たちを自分であると思いがちなんですが、じつは「自分」と「感情」とは別物ということです。
自分とは四頭の馬を操る御者だそうです。まず、そこを理解することが大事。客観的に馬の様子を別物として観察すること。そのうえで対処を考え指示すること。暴れ馬たちの思うままになっていると、一生目的地にはたどり着けない。
で、そもそも、なんで馬たちは御者である自分の言うことを聞かずに、てんでバラバラに大暴れしてしまうのか?
それは馬たちは群れという社会が要求する価値観に大きく影響されてしまうから。誰かのあれをやれ!これが正しい!それはやめろ!おまえは間違っている!という本来の自分の中にある意志とは別の価値観に馬(感情)たちは影響されてしまうのです。すると御者である自己がどこへ行きたいのか?という本来の目的が馬たちに伝わらずに勝手な動きを始めてしまうのです。
それも特に固定化された壁に囲まれた群れの中にいる場合は群れの価値観が自己の価値観よりも大きくなってしまう。
そこで、「ソロタイム」が有効だということです。週に数時間でも「ひとりぼっちの時間」を作って、世間という価値観のなかで押さえつけられている自分の中にある、本来の「自己」と出会い、本当の価値観と目的地を確認すること。そしてその目的地を意識して馬車を引っ張る馬たちに伝えること。
そして「ソロタイム」をより有効にするためには、「旅」が有効だそうです。
「旅」は普段とは違う場所に行き、いつもと違う物と環境に囲まれれば、より自分との違いが明白になり、自己が浮かび上がります。そしてヴァーチャルな旅として読書も有効だそうです。特に古典とかSF。また超具体的な例として大きな木に抱きつくなんてアイデアも書いてありました。
まぁどの方法にしろ、自分をいつもの群れという枠の外に置くということでしょうか。
より大きな時間の流れの中での自分を想像すること。
また固定化された群れが作る壁はマジックミラーで出来ているとも書いてあります。内側からは外は見えないんですね。で、外側から中は見える。自分のためにも、そして群れ全体の環境を良くするためにも、ソロタイムを過ごし、より広い場所から、今自分がいる群れを見つめ直すということも大事なようです。