天然誤読生活

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【書評】ラクガキ・マスター☆ラクガキがうまくなるコツはいろんなことに応用可能!

 

ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン

ラクガキ・マスター 描くことが楽しくなる絵のキホン

 

 子供のころ、マンガ家になりたいなぁ、なんて思ってたもんですから、今でも絵を描くのが上手な人を見ると、それだけで尊敬してしまいます。で、推測なんですが、絵を描くのがうまい人って、筆や鉛筆をもつ手が器用っていうよりも、描く対象を見る目が優秀であったり独特の個性を持っているんじゃないでしょうか?つまり腕より眼ではないのかと・・・。

今回、この本を読んでその推測は当たってるかもなぁと思いました。著者の寄藤さんの絵を(ラクガキ)を描く際の、モノ、そして世界を見る眼というのが驚くくらい面白いんですよね(^^)例えば・・・。

 山の絵を描くとするじゃないですか?たいていは適当に三角形の絵を描いてごまかすという感じが多いと思うんです。それって、頭の中に山とは三角形である、という固定観念が脳内イメージとしてあるから、何も考えずに、三角形の山の絵を描くんでしょうね。その結果、全然楽しくない、活き活きとしていない山の絵しか描けない。このあたり、脳内文字という考え方にも通じるような気もしますね。

lifeofdij.hatenablog.com

それに対してこの本で寄藤さんは、こんなことを書いていて目からウロコでした。

山はもともと大地のシワ。紙や布でシワをつくれば、それはもう山岳地帯。いろんなものに布をかぶせて山のカタチを研究してみてください。

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 面白いと思って試してみました。

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 なるほど〜。なんか、山っぽいです(^^)で、実際に描いてみました。

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う〜ん。上手いとはいえませんが、それなりに雰囲気は出たような気がします。山とは大地のシワであるという見えかたをもとにした、布のシワという見本がなければまず描けないような気がします。

つまり何かを見るときって、たぶんそのモノそのものを見ているんじゃなくて、頭の中にある固定観念というメガネをかけて見ているつもりになっているんでしょうね。これってラクガキだけの話ではない気がします。

それから著者が頭の中のイメージを実際に絵として完成させるための8つのステップというのも興味深いです。

①思い描く

イメージはたいてい印象だけを都合よくツギハギしたぼんやりしたもの。これをそのまま描くことはできません。

②箱庭を作る。

いきなり絵にしません。まずイメージの中の光景を斜め上から見た箱庭のような絵にして考えます。そしておおまかな位置関係を箱庭に描き込んでいきます。

③スカスカの箱庭になる。

箱庭ができると大抵の場合、スカスカでつまらなく感じます。それは絵が下手だからではなく、絵が未完成だからです。ここからスカスカな部分を埋めていきます。

④箱庭を印象に近づける

もっと広いとか、山が高いとか、思い浮かべた光景と箱庭の印象が大きく違う部分を修正します。

⑤調べる

光景のなかに鹿が見えていたら、動物図鑑でその鹿にいちばん近い鹿をみつけます。樹が見えていたら、ネットの画像検索などで、何の樹か調べます。頭の中で見えていても、知らないことには絵にできません。きちんと調べることによって、ようやく絵にできます。

⑥推測する

そこがどうなっているかわからない部分は推測や想像で補います。標高が高いなら針葉樹が多いはず、水は淡水だから魚は小さいはず。そのように箱庭に描き込んでいく

⑦箱庭の完成

ぼんやりとした部分がなくなって全体がクリアに見えたら完成です。つまらないと思った箱庭も、きちんと描いていくこと、頭で思い描いたよりも、素晴らしい光景になります。

⑧箱庭を使って描く

できあがった箱庭を見ながら、頭の中で、もう一度同じ光景を想像してみましょう。ぼんやりしていないはずです。それぞれの木や、鹿の様子がクッキリと見えるはずです。

寄藤さんはこういうステップを踏むことによって、見ていて楽しくなる絵を描くんですね〜。具体的に說明されると、これから絵の見かたが変わってきそうです。

そして、この8つのステップを読んで思い浮かべたのはこの絵をうまく描くコツはいろんなことに応用可能なんじゃないのかなぁと。

何か頭の中で、あれしたい、これしたい、とイメージを思い浮かべる。で、実現しようと何かしてみる。しかし、最初のイメージどおりにはならなくて、やめてしまう。

これって8つのステップで考えてみると、②の大まかな俯瞰とか④の修正とか⑤の調べる⑥の推測と想像などといった、手順をしっかりと踏んでいないからなんじゃないのかなと。そういう意味ではこの絵を描くさいの8つのステップ、いろんなところに活用してみたいなと思います。