天然誤読生活

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【書評】ツキの科学 運をコントロールする技術 類書の中ではベスト!

 

「ツキ」の科学 運をコントロールする技術

「ツキ」の科学 運をコントロールする技術

 

運とかツキに関する本というのは何冊か読んでますが、自分的にこの本がベストかなと思いました。そしていくつかのビックリ理論に驚きつつ、同時に腹落ちもしました。さてこの本の構成として、前半で運とは何か?後半では運の良い人の特徴を書いています。前半の「運とはなにか?」では、スピリチュアル、数学者、ギャンブラー、投資家などなど「運」を語ったり、または批判したりなど、つまり「運」という現象を意識せざるを得ない人たちに対するインタビューの結果がまとめられています。

後半では、前半の研究と著者自身の経験をもとに運の良い人の5つの特徴がまとめられています。これが、じつは「ああそうだよね」と思うことが4つと、えっ本当に??と思ったことがひとつあるのです。まずは「そうだよね」というものから。

 

1.社交性に富む

多くの幸運は他人からもたらされる

これは納得ですよね。本書ではカーク・ダグラスというハリウッドスターの事例と言葉が紹介されていました。(マイケル・ダグラスのお父さんですね)

「自分の運は、他人の運によって変わるんですよ。それは驚くほどに」

運というのは他人が運んでくれるものであって、社交的であるということは、運んできてくれる可能性のある人の数の絶対数が多い、つまり、良運がやってくる可能性が高い、というのは当たり前の現象なんですね。

2.直観力が強い

十分な情報や経験の裏づけを持ち、確かな根拠に基づく合理的な直感力が役に立つ。

今までの経験や知識に裏打ちされた直感の強さが良運を招くということですね。反対に悪い例として上げられているのは、ギャンブル狂いの人たちの「直感もどき」

ギャンブル狂いの人たちは、彼らは総じて、直感という能力をうまく使うことができていない。それで、ほとんどの場合、いつもギャンブルに負けてしまう。ギャンブル狂いの人たちは皆、ごく普通の人たちですよ。ただ、努力がとても嫌いなだけです。懸命に働いたのだけれど、まるで報われなかった、という過去を持つ人も多いです。そういう人は、他人に食い物にされたという意識が強く、同じ気分を味わうのは二度とごめんだと思っています。それで努力をしようとしないのです。元手をかけずに得をしたいといつも考えています。直感に頼りたがるのはそのためです。しかし直感といっても、実のところ、(なんとなくそういう気がする)というにすぎず、ほとんど当たることはありません。

う〜ん、ギャンブルだけに限らず耳の痛い話です。面倒くさいから、直感のせいにして考えるのを放棄する、ということは自分的に多いなぁと思います。だからそんなときにどうするのか?著者はこんなことを書いていました。

誤った直感は、その多くが(偽装をした願望)なのです。何かをあまりに強く望んでいると、その通りのことを直感した、と勘違いすることがある。何かで直感に頼りたいという気持になったときは、自分に問うてみるといい。単に真面目に努力をするのが嫌なだけではないのか。調べたり、他人の意見を聞いたりといった手間をかけるのが嫌なだけではないのか。

はい。肝に命じます。手帳に書き写したいほど響きます(汗)

3.勇気がある

偶然に起きることを注視して生かすには勇気が必要。

結局、運をつかみにいくにはとりにいく「勇気」が必要という、当たり前すぎる当たり前の話ですね。ところが、これがまた・・・難しかったりするんですがね。

自分を不運だという人の多くは、非常に受け身な人たちです。運の悪い人たちは、チャンスを活かすべく自ら積極的に動くようなことはなく、ただ起きた出来事にそのまま身をまかせています。変化を恐れる人が多く、ときには、まったくリスクのない変化でさえ嫌がります。ともかく、状況が変わることが嫌なのです。客観的にみて何も害がなくても、変わるというだけで嫌悪するのです。彼らには「勇気が欠けていた」ということだ。

これもまたまた耳が痛い。

4.ラチェット効果をはたらかせる

悪い方に転がり始めたらすぐ止められるように準備をしておく。不運をすぐに手放す。大損は絶対しないように気を配る。運の悪い人はこれが出来ないために、しばしば手遅れになる。

ヤバっと思った時に速やかに損切りできるかどうか?ということですね。ちなみにラチェットとは

ラチェット - Wikipedia

株式市場で損ばかりする人に共通する特徴は、まず「自分を賢く見せたい」という気持が異常に強いことだという。その欲求が強すぎると、間違いを認めることができなくなってしまう。その態度が不運を招くことになる。

大きく得をするために小さな損を厭わない。たとえ小さな損が続いても受け入れる。それがギャンブルにしろ、長い目で見て「勝つ人間」に共通する特徴

3の勇気でリスクはとるんだけど、ダメっぽいなと思ったら即撤退が吉ということですね。

5.悲観的観測に基づいて行動する

運が良いと思われる人は、悲観的な態度によってトラブルを避けている。

で、ビックリしたのが、これなんですよ。運のいい人は悲観主義なんですね。要は心配性。そこいら中に落とし穴があるかもしれない、という現実認識。これが結果的に無事これ名馬なり、で結局「ツキ」のある人になるということです。この本では比較対象として、反対に「運の悪い人」の事例もたくさん紹介されていますが、以下のものもなるほど、と思わせてくれます。

 南アフリカで何年にもわたり、バス運転手と事故についての詳細な調査が行われたことがあった。このときも、悲観的な態度の大切さがわかる結果が得られている。 ほかより多くの事故を起こしている運転手は、総じて非常に楽観的な性格だったのだ。
具体的には、①自分の運転技術②ほかの運転手の技術と注意力③自分の運、という3つのことに関して非常に楽観的で、過信していることがわかった。

で、これを他のことにあてはめて考えてみると

ギャンブルにのめり込んでいる人について調べていくと、彼らの多くがはじめのうちは勝っていたということがわかります。ギャンブルをはじめたばかりのころは「ついていた」というわけです。それがあまりに楽しかったために、同じ気持ちを味わいたいと思ってしまったのです。しかし、確立の法則はそれを許しません。それは誰にとっても自明のことのはずなのですが、彼らは「また同じことが起こるはず」という希望を失いません。これは「楽観主義の呪い」です 

 楽観主義の呪い、これはキツい言葉ですね(汗)自分、これあります。あぁだからあんまりツキのない人なんだなぁと納得しました(苦笑)

まぁ結局のところ、運のいい人というのは、現実を「リアル」に見て、妥当な判断と行動をしている、ということなんでしょうね。ギャンブラーの例でこんなことも書いていました。

プロのギャンブラーは、たとえばカードゲームの場合なら、結果が腕と運の両方で決まることをよく知っています。それで、この二つを混同しないように、常に細心の注意を払っているのです。また、この二つをつい混同しがちな愚か者をカモにして儲けようとする、といっても良いでしょう。愚か者たちの特徴は、実際には自分の思い通りにならないことまで、思い通りになると信じていることです。 

カモですかぁ。キツいですね、またまた。だけど、この言葉の中でもっと大事なのは 結果が腕と運の両方で決まるという部分でしょかね。つまり、これも先程書いたようにいかにリアルに現実を認識できるか、無謀な希望も余計な悲観ももたない、ということでしょうか。

運の良い人は、人生を秩序あるもののように錯覚したりはしない。前もって細かく計画を立てたりしたとしても、すべてその通りにできるなどとは思わないのだ。決して予想通りにならないこの「無秩序さ」「でたらめさ」があるときは人を喜ばせ、あるときは人を苛立たせる。苛立ってしまう人が、すなわち「運の悪い人」というわけだ。運の良い人は、この無秩序さを事実として受け入れ、嫌でも対処しなくてはならないものと考える。ここが、運の悪い人と決定的に違っている。運の悪い人は、無秩序さを受け入れようとしない。なんとか無秩序でないことを証明しようとする。 

 ということで私がこの本を読んでの気づきは、とにかく冷静にリアルに現実を見て、憂う暇があったら善処しろ!そして勇気をもって行動しろ、で、ヤバそうと思ったら即逃げして、次のチャンスをうかがうこと、これを繰り返すことがツキを呼ぶ生き方なんだな、ということです。