天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

【書評】頂き!成り上がり飯(1)料理が趣味のヤンキーの成り上がりストーリー

 

ヤンキーのケンカ話グルメネタっていう、マンガの二大人気ネタミックスさせた異色作です。その設定だけでも面白くないはずないだろうという感じですが、逆にハードルが上がってしまうので、実際どうなのかなぁと思いつつ読みはじめました。ところが・・・

 いやぁ、良い意味で裏切られました。本当に面白い。ケンカが絶えないヤンキーだらけの高校に入った主人公ケニー。彼は入学早々、その高校の頭である3年生のメリケンとタイマンをはる。ところが、まったく歯が立たず一発でのされる。メリケンはケニーの鞄からいい匂いがすることに気が付く。で、メリケンはケニーの弁当を勝手に食べはじめる。めちゃくちゃうまいとメリケンは感動する。その弁当を作ったのがケニー自身であることを知り、メリケンはケニーをやるなぁおまえと認める。ケニーはその言葉を聞いて、ケンカでは敵わないが(趣味である)料理の腕を使って成り上がることを決意する(という謎の展開 笑)

まずは俺の飯で1年全員の胃袋を掴む!はじめは同じクラスのB組からだ。

そして1年B組のママに俺はなーーーる!!

というようなお話しです、海賊王に俺はなる!のパロディみたいで楽しいですね(笑)

で、グルメマンガの見せ場はやっぱり食べた料理の旨さをどうセリフと絵で表現できるか?というところだと思いますが、このマンガの「旨さ表現」は今までにない衝撃度でした(笑)例えば、キュウリ入りのツナサンドの表現はたまらない完成度です。

それからですね、自分が昔、少年時代に読んでいたヤンキーマンガといえばビー・バップ・ハイスクールとか湘南爆走族あたりなんですが、それから30年以上たって描かれるこのヤンキーマンガ、基本的にはストーリーもやることも大差はないんです。相も変わらず同じようなバカなことをしている。でも、ひとつ大きな違いがあります。この作品ではヤンキーたちの家庭環境みたいなものがドライにハードに描かれているんですよ。具体的にはこのマンガに出てくるヤンキーたちは、まともに家でご飯を食べさせてもらえない子供たちばっかりなんですよね。そのあたり考えさせられますね。

で、それを踏まえて読んでみると、ヤンキーに自分で弁当を作らさせるというのは異色でもなんでもなく、このマンガを読むヤンキー少年たちに対する、ひとつの真っ当で実用的なアドバイスであり、心のこもった応援マンガであるともいえるのかもしれません。ケンカもいいけど、まず旨いものを食ってからにしろと。そして旨いものは意外に簡単に自分で作れるぞと!

lifeofdij.hatenablog.com