天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

あなたの一生を形づくる不思議なウィルス(のようなもの)とは?

 

心を操るウイルス: なぜ思い通りの人生を生きられないのか

心を操るウイルス: なぜ思い通りの人生を生きられないのか

 

皆さんはミームという言葉を聴いたことはありますか?そのミームというウイルスが、人間の一生を支配していると聞いたらただ事ではないですね!ちょっと大げさな話しになりますが人間の運命というのは、なぜこれほど千差万別なのでしょうか?そして運命というか、ヒトの生涯は、なぜこれほど色とりどりなのでしょう?それぞれ個人の行動の結果、人生のカタチが違ってくるわけですが、その行動の違いというのはどこからでてくるのでしょうか?

 人生というのはある程度持って生まれたもの、運命によってある程度決まっている。いやいや、環境であり、自助努力により、自分で作っていくもの。そのあたりはそれぞれのお考えは、あるかと思います。個人的には、持って生まれたものと、環境、それから自分の意思。それらが複雑にからみ合って個人の人生をカタチ作ると思っています。

その中でもこの本は、環境とはなんぞや?環境の影響は大きいぞ!という視点で書かれた一冊です。この本をざっくりと説明しますと、「ミーム」という仮想モデルを使って人間の生涯の多様性を説明しようとする一冊です。こんな前提で書かれています。

この本ではあなたの人生が、DNAに書かれた司令と成長の過程で得た心のプログラミングとの組み合わせで支配されているものとして話を進める。

そしてそのプログラムを作るのが「ミーム」だと仮定して考えていきます。

あなたのなす行為のうち、本能でないことはすべてプログラミングの結果である。。そしてあなたの心をプログラムするのがミームである

この本では「ミーム」というモデルを仮定して、環境条件を考えています。そもそも「ミーム」とは何か?

ミーム(meme)とは、人々の脳から脳へとコピーされる情報であり、また社会・文化を形成する様々な情報として分析される。 言い換えれば、習慣や技能、知識、物語といった人から人へコピーされる様々な情報である。 例えば1万年前と現代では文明が大きく進歩したが、それはヒトの脳が生物学的に進化した結果ではない。 Wikiより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%BC%E3%83%A0

 ざっくり言ってしまうと、人間が何か行動するときには、判断基準ってありますよね。
そのうち本能以外の基準というのはすべて「ミーム」ということかもしれません。そしてミームというのは人から人へ、インフルエンザウィルスのように伝播していくという性質を持っている。

ミームについて解説しているTED動画
【スーザン・ブラックモアのミーム学:ウィルスのように脳から脳へと自己複製するアイデア。 】
http://www.ted.com/talks/susan_blackmore_on_memes_and_temes?language=ja

我々のご先祖様の中の賢い人が持っていた、「火の起こし方」という情報もミームの一つであり、様々なアイデア、キャッチフレーズから、服の流行、橋の作り方という情報もミームですね。もしも人間が遺伝子に組み込まれた情報だけで生きていくとしたら、おそらく我々は、今でも、おサルさんたちと、大差ない生活をしていますよね。

ミーム」という数えきれない情報を、言葉というカタチに変えて、教育であったり、躾、社会規範という方法で情報を受け継いできた。だからこそ、1万年前の人間と遺伝子構造自体は、大差ない我々現代人が、ご先祖様たちとは様変わりした生活を送っている。

そんなミームには3つの種類があると言います。

①識別ミーム

私たち人間が、様々な物事を認識できるのは、世の中をあらゆる物事に分割してラベルを貼っている識別ミームが心の中にあるからである Wikiより

母親の顔、敵となる動物、食べられる木の実、食べられないキノコなどの情報を識別するミーム。そもそも宇宙という概念も地球という星も人間という生きものも、むかしむかし、頭の良いご先祖様が、勝手に決めつけた分類なわけですね。宇宙から見れば人間もクマ?も渾然一体となって一緒のもの(笑)

②戦略ミーム

何々をすれば何々という結果になる」という、原因と結果に関するミームWikiより

 

原因と結果に関する考えである。あなたが戦略ミームにプログラムされると、あなたはどのように行動すれば、どのような結果を生み出す可能性が高いかということを、無意識のうちに悟る。子供が駄々をこねると、周りの大人が世話を焼いてくれるという情報も戦略ミームですね。大人になってもその戦略を多用する人もいますが(笑)


③関連付けミーム

ミーム同士を関連づけるミーム。関連づけミームにより、ある物事(ミーム)によって別の感覚や考え(ミーム)が心に浮かぶ引き金となる。例えば、何かのにおいを嗅いで、過去の記憶を思い出すのは、においと記憶の関連づけミームがあるからである。Wikiより

 

関連付けミームでプログラムされると、一つの存在が別の事柄についての考えや感情の引き金となる。これがあなたの行動に変化を起こし、最終的にそのミームを他人の心へ広めることにつながる。p57

 テレビコマーシャルなどは、このミームを利用していますね。魅力ある女優を起用して商品のイメージアップを図るなどなど・・。気をつけなければいけないのは、ミームには、善悪という概念はないということですね。だけど影響力はとてつもなく大きい。

ミームはあなたの人生を動かすことができ、現実に動かしている。おそらくは、あなたが気がついているよりもはるかに大きく動かしているp58

目の前に現れた「ミーム」を自分の中に取り入れるのか?入れないのか?は個人の自由。しかし意識して、取り入れたり、拒否したりしているわけではないことがポイント。いつのまにか影響を受けている。大事なのは自分という存在は何らかの「ミーム」の影響を受けている存在だということを意識すること。

影響を受けずにはいられないわけですが、「ミーム」という仮想モデルを意識することによって、知らない状態よりは、どの「ミーム」を選択するか考える事が出来る。無意識でただ受け取るだけの状態よりも有利な事は間違いないですね。この本によれば、どの「ミーム」の影響を受けたかによって人生のカタチが変わってくるわけだから。

よって最初の問いである「人間の運命というのは、なぜこれほど千差万別なのでしょうか?」について、この本で得た、自分なりの答えは持って生まれた物と、影響を受けた「ミーム」を掛け算して出た結果が、人生のカタチになるので、その結果、答えの種類は千差万別になるほどの多様性を生む。という事です。

そんな事を考えさせられた「この本は良いですよー」というのも「ミーム」のひとつになりますね(笑)広がるかどうかはわかりませんが(笑)


2015/11/03