天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

哲学を使って、おもしろきこともなき世を300倍おもしろく。

 

「おもしろきこともなき世をおもしろく」高杉晋作

さて毎日が楽しいか、つまらないかって結局のところ「気分」だと思いませんか?なんせ人間おそらく当たらないだろうと思ってる宝くじを買うだけでしばらくハッピーに過ごせますからね(笑)つまり楽しく過ごしたいと思ったらいかに『気分』を主体的に良くしていくか、ということになりますね。まあ、別に無理矢理笑って過ごそうとか
ポジポジで行こうとかそういうことではないんですけどやっぱり楽しいほうがいいですよね。ということで今回は「哲学」を使っていかに毎日を楽しく生きていくか?というヒントを教えてくれる本です!

 さてヘーゲルの絶対知の考えを利用したこんな言葉がこの本では提案されています。
「何かを創造することにより全能感を味わう。」

こう書くと何やら大げさですが、ある精神療法でも苦手な人や悪習慣にかわいくて笑える名前をつけようという提案があります。

例えば皆さんは昔教科書の中の偉人の顔にいたずら書きなんかををしませんでしたか?
これも苦手な人にかわいいあだ名をつけるのと同じですね。世の中面倒な事、怖ーい上司、むかつく野郎などなどたくさん強敵はいますけど、結局の所「嫌だ」「苦手だ」と
カテゴライズしてるのは自分のメガネというフィルター越しなんですね。

幼子のような曇りなき視点で世界を眺める!なんてことは残念ながら出来ない年齢です(笑)そのかわり自分で視点というかメガネを選ぶ事は出来るくらいの経験は積んで来てる。どうにか生き延びてきた大人の特権として。

つまりわれわれは世間をどう見るのかを自分で決める事ができる。まるで神のように目の前の世界を定義する事が出来る。

つまり

「何かを創造することにより全能感を味わう。」
決めちゃっていいんですね。この世界が面白いか?つまらないかを。それが『絶対知』の考えを利用した人生を面白くする方法。

もしもまわりの世界がつまらないんだとしたら僕たち自身が面白くする手間と工夫を惜しんでる。そんな感じで偉大な哲学者の考えを利用した毎日を面白くする方法が25通り掲載されています。

詳しくは本書をご覧いただくとしていくつか気に入った項目を挙げときます。

①「最悪」を「最高」といってみよう!
 ヘーゲル弁証法を利用して

②日常のルーティンをイベントにしよう!
 ベンサムの最大多数の最大幸福を利用して

③自分の人生を物語にして、タイトルをつけよう!
 バルトのナラトロジーを利用して

④常に種をまいておこう!
 サルトル実存主義を利用して

たぶん哲学を詳しく知ってらっしゃる方からしたら何言ってんの?という感じはあるんでしょうけど、そもそも哲学とはなんぞや?と考えると多分アタマの良い人たちが一生かけて「普通レベルのアタマの人がどうやったら幸せに生きていけるか?」考えてくれて、書物というカタチでシェアしてくれてるのが哲学なんじゃないかと思うんですね。

ということでこの本の25の方法を通してソクラテスさんや、レヴィストローズさん、キルケゴールさんたちそんな太っ腹でサービス精神に満ちた人たちの知識を自分の幸せにために利用させてもらうってのもありだと思うんですよね。その中から気に入った幸せなメガネを自分で選ぶ。

偉大な哲人たちも天国で自分たちの言葉を読んだ誰かが悩んでる姿よりも楽しく笑ってる姿を見る方が嬉しいと思うんですよね。「よくないね」ボタンより「いいね」ボタンのほうが嬉しいですよね!

ということで小川さんのこの本。偉大な哲人と我々をつなげてくれます。これもズバリ、おすすめします!