天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

難しいけど「なにかあるんじゃないの??感」が満載の話題のマンガを無理やり考察する【不滅のあなたへ(3)】

 

  このマンガは難しい。でも、面白さを理解できない自分の読みが甘いのだろうか?と疑わざるをえないほど「なにかあるんじゃないの??感」が満載なので、とりあえず今の時点での考察を残しておきます。コミックスで5巻まで出ているということなんですが、私が読んだのは3巻まです。まず簡単にどんな話なのかと說明いたします・・・。

 ”球”と呼ばれる(自らを自称している?)意識体のようなものが「石」に乗り移ります。その意識体は他の生命体が物理的な死を迎えると、その身体に乗り移ることができます。

意識体は最初死んだ狼に乗り移り、その後、狼の飼い主であった少年に乗り移ります。その後同じようにクマへ乗り移り、ついで少女に乗り移ります。で、ややこしいんですが「乗り替わる」のではないんです。どんどん変身できる身体が増えていくんです。例えば(作品内でははっきりとは描かれていませんが)高速に移動したいと思えば狼の姿になればいいし、戦闘しなくてはいけない場面ではクマになればいい。食料を採取しようと思えば少女になればいい。普通の人間社会で暮らすときには、少年の姿でいればいいと。

つまり様々な身体と、その身体が持つ「生きていくための情報」をプラスしていく、という存在なんですね、その意識体とやらは。(自分でこう書いていてもよくわからないですが 笑)

で、その意識体の目的というのがわからないんですよ。そもそも意識体自体が自分が何のために存在しているのかがわかっていない。

で、途中からその意識体が得た「身体や情報」を奪おうとする奇妙な「敵?」が現れてバトルが始まります。するとまた別のマントを背負った「怪しさ満点な何者」かが現れて、意識体に指示を出します。で、意識体は敵と戦うと・・・・。

 そのよくわからないバトルというのはたまに出てくるだけで、ストーリーの大半は意識体に身体を乗り移られることになる、少年であったり、少女、そしてふたりを取り巻く人間たちの動きと心情を追って展開します。

例えば少年というのは、どういう事情があるのかわかりませんが、ある村落にただひとり取り残されたという設定なんですね。で、ひとりぼっちがあまりに寂しいので、かって一緒に暮らした村人たちの姿を追って旅に出る、ところが途中で怪我をしてしまい、命を落とす。で、意識体は少年に乗り移る。

その意識体が乗り移った少年が偶然に出会うことになるのが、ニナンナという村の少女マーチ。この女の子は大人になって早くお母さんになりたい、と願う普通の女の子。ところが、オニグマ様という山の神の生贄として選ばれてしまうんですね、かわいそうなことに。で、紆余曲折はあるんだけどマーチは逃げることを選ぶ。しかし、逃げる最中に命を落としてしまう。そして意識体はマーチの身体も手に入れる・・・。

で、そんなふうに段々と様々な生命体に乗り移ることによって意識体は人間としての意識やアイデンティティみたいなものを獲得していくんですね。

と、ここまで書いていて思ったのは、これってもしかしたらただの原始の細胞だった生命が現在の我々人間に変化していく過程を物語風に語っているというものなのかもしれない、と思いつきました。全然的外れかもしれませんが。

で、乗り移られることになる、仲間に逢いたくて旅に出た少年であったり、母親になりたかったのに叶わず命を落とした少女というのは、この世界にこれまで数え切れないほど生まれて死んでいった「懸命に生きたけど望みを叶えられなかった生命たち」とも読み替えられると思うんですよ。そんな、道半ばにして倒れていった先達たちを象徴したような無数の生命という存在なのかもしれないなぁと。

で、彼らや彼女らは望んだことを成し遂げられなかったかもしれないけど、それは無駄とかでは一切なくて、この物語の中の意識体とされているものが最終的に見つけるはずの何か?(きっと素晴らしいもの)を見つけるための礎となっているのではないのか?

この先、どうストーリーが展開していくのかわかりませんが、そのように進んでいけばいいなぁと思ったりもします。というあたりが今現在3巻を読んだところまででの無理やりの考察です。