天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

諦めるとは明らかににすることだそうです

 

諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉

諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉

 

 【主体的に諦める】

主体的に生きるって、たぶん口で言うほど簡単なことでもないですよね。で、この諦める力って本はなにか?っていうと為末さんがいかに主体的に生きるかそのために考えて実践してきたことの記録なんですね。タイトルの「諦める力」という言葉ですが
『諦めるとは明らかににすること。』という語源があるそうです。

 考えたくない、見たくない、感じたくないっていうこころの裏庭に光をあてることって、けっこうつらいですよね。

だってそのままにしとけば、痛みも悲しみも感じなくてすみますから。つまり明らかにする=諦めるってとても勇気の必要な行為。

僕は全然できてないこと多いですよ。知らんぷりしてる事が多いですよ。だけどなんとかしなくてはいけないとは思ってる。

そんな時に為末さんの言葉はとても効く。ぶっきらぼうであんまりやさしくないんだけどしっかり噛んで飲み込めば、確かな力を与えてくれる。

人生にはどれだけがんばっても「仕方のない」ことがある。でも、「仕方がある」こともいくらでも残っている。努力でどうにもならないことは確実にあって、しかしどうにもならないことがあると気づくことで「仕方がある」ことも存在すると気づくが財産になると思う。
そして、この世界のすべてが「仕方がある」ことばかりで成り立っていないということは、わたしたち人間にとっての救いでもあると思う。』

 為末さんの生き方ってたぶんとても痛みを伴う生き方なのだろうと思う。主体的に諦める、言い換えれば主体的に生きるって覚悟がいる。

だけど、全身麻酔をかけられたまま何も感じないまま、いろんなつらさや苦しさ自分の弱さ、みっともなさ、そんなものたちを感じなくてすまそうとしている生き方を選んだ人(自分も)が知ることのない深い喜びも得ているんでしょうね。

為末さんの顔をみればわかりますもん。すっきりとした良い笑顔をするじゃないですか。たびたびこの本を読み返してちょっとずつ、「仕方のある」ことをみつけるために光を照らす勇気をもらっています。おすすめです。