天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

回転寿司はロシアンルーレットだ!という言葉に射抜かれた。

 

目の見えない人は世界をどう見ているのか (光文社新書)
 

 この本は目の見えない人に対するインタビューをもとに著者が考察した「世界の見方」に関する本だ。著者は目の見えない人が世界をどう見ているのか?を知りたいと思う。「世界の別の顔」を知りたいと思ったからだ。別の顔とは何か・・?

 それは意味付けによって変わってくる世界の多様性に満ちた顔のことだ。なぜなら「世界とは情報と意味で出来ている」からだ。簡単に言うと人の意味付けによって物理的に同じ世界に属していても見えている風景は全く違ってくるということだ。

例えば「明日の降水確率は60%である」という情報は受け手次第で、無数の意味を生み出す。明日運動会の小学生と、傘屋、農家では全然違う意味付けをする

つまり「意味」とは「情報」が具体的な文脈に置かれたときに生まれるもの。同じ情報という現実で作られている世界はそれぞれが付ける「意味」によって別の顔を生み出す。そして著者は別の顔を感知できるスペシャリストこそ目の見えない人たちではないのか?と仮定して調査と考察を始める。

見える人が見えない人にとる態度は、「情報」ベースになりがちだ。ここ困ってませんか?あれが不足ではありませんか?助けるという事は良い事だろう。しかし本当に大事なのは対等にお互いが人間同士として面白がれる関係なのだ。三本の脚で立っている椅子に四本の脚で立っている椅子がもう一本つけなきゃあ、だめだよ、という必要はないのだ。三本の足の椅子にはその独特のバランスがあるのだ。そのバランスは尊重するべきだ。

そう確信する著者は目の見えない人たちに真剣にかつ好奇心満タンで話を聞く。その結果がこの本に記されいる。「回転寿しはロシアンルーレットだ!」という言葉は実際に見えない人が語った日常だ。ユーモアではあるが特に狙ったギャグではない。

私はこの本を読んだことにより新しいメガネ(視点)を手に入れる事が出来た。そのメガネは他者をそして自分を理解するための最新のナビゲーションになる可能性を秘めている。

現実はなかなか手強い情報に満ちているが意味付けを変えることによって世界は変わる。そんな気にもさせてくれた。それほどの情報と考察を含んだパワフルで温かい一冊だ。何やら面白そうだ!とピンときた方は一読をおすすめする。