天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

ストーリーとして仕事や生き方を考えてみたくなる書評集

 

戦略読書日記<本質を抉りだす思考のセンス>

戦略読書日記<本質を抉りだす思考のセンス>

 

 この本の著者の楠木さんという方は、特に事業を行っているというわけでもなくて、
【戦略】というものが、大好き?で色々と研究しているようです。そういう立ち位置って面白いなあと思ったんです。

 たぶん楠木さんのお考えって縦思考な気がするんです。簡単に言ってしまうと、何から始めるべきか?何を後回しにするのか?という順列ですね。言葉としてご本人が使っているのがストーリー的思考ということなのかなぁと。

さてこの本の概要になりますが形態としては書評集ということになります。しかし著者自らが語っているように様々な本を『戦略』という観点から読みなおしご自身が今まで考えてきた戦略論とスリあわせていくという内容です。

おおよそ20冊くらいの本をもとに書いてありますがいろんな業界で実績を残した人の自伝などが多いです。中にはもう手に入らないであろう絶版本なども多いのでその中身というかエッセンスと知れるという意味でもお得な一冊かもしれません。

今回は著者のストーリー思考に大きな影響を与えたという脚本家、笠原和夫さんの(仁義無き戦いなどの脚本を担当)の本【映画はやくざなり】から一部を抜粋いたします。
脚本をつくり上げる時の思考の順序なんですが他の何事かを作るときにも参考になりそうな考え方です。

☆笠原氏の脚本を書く際の仕事の順列
①コンセプトの検討
②テーマの設定
③ハンティング(取材と資料収集)
④キャラクターの創造
⑤ストラクチャー(人物相関表)
⑥コンストラクション(事件の配列)
⑦プロット作り

面白いあと思ったのはストーリーの肝と思えるプロット作成が一番最後にあるという事なんです。ああーーーこれがこの方の戦略という事なんだなあと。

☆ついでにドラマを盛り上げる要素
ちょっとして文章にも取り入れたいところ。

①コロガリーー何が始まるのかとワクワクさせる展開
②カセーー主人公に背負わされた運命、宿命
③オタカラーー主人公にとって、なにものにも代えがたく守るべきもの
④カタキーー敵、オタカラを奪おうとするもの
⑤サンボウーー正念場
⑥ヤブレーー破、乱調、主人公が落ちぶれる場面
⑦オリンーーバイオリンの事、涙を誘う場面
⑧ヤマーークライマックス
⑨オチーーラストシーン。予測と期待通りに終わる場合と予測に反しながらも期待は満たすという2つのパターン
⑩オダイモクーーお題目、ずばり作品のテーマ

その他柳井さんの本、銀座の女王といわれた方の本などなどオモシロ本のエッセンスが満載です。これは激しくおすすめできる一冊。


2016/06/23