SONYのaiboが発売されたというニュースを聞いて思い出したルンバもどきの偉大すぎる仕事の話
aiboの発売開始のニュースを見て思い出した話。精神科医の名越康文さんがどこかで話していた話。(正確には覚えていないので以下私の中で適当に意訳)ルンバもどきを買ったけどあまり使わないので田舎で一人暮らしをしている高齢の母親にあげたそう。
最初母親は掃除は自分でするし、新しい機械なんて操作方法を覚えられないからいらないと言っていた。
ところがしばらくして名越さんが実家に帰ると家の中は以前よりも片付きルンバもどきもモソモソと動きまわっていたそう。ルンバもどきが大活躍して家がきれいになったのかと思って母親に聞いてみた。
ところが、返ってきた答えは違った。ちょこまか動いているルンバもどきを眺めていると面白くてペットみたいに思えてきたらしい。で、ルンバもどきがもっと動き回れるように自分で家を以前よりも片付けるようになったそうだ。それで身体も前よりも動かすようになったし、ついついルンバもどきに話しかけたりすることも増えて前よりも一人暮らしが寂しくなくなったということ。名越先生の話はこんな感じ。
これってルンバもどきの意外な効用ですよね。本来の掃除機能はイマイチなんだけで
人の心を和ませるための愛玩物としての才能がルンバもどきにはあった(笑)もちろんそれはその製品を販売しているメーカーの意図していることとは思えませんが、結果的にすごく役立つ一品となったわけですね。面白いなぁと思ったんですよ、この話。
普通、家電って購入者の負担を減らすために存在するものですよね。全自動洗濯機にしろ、コンピュータにしろ、冷蔵庫にしろ。ところがこのルンバもどきって反対に名越さんのお母さんの仕事を増やしているんですね。
で、面白いことに仕事が(適度に)増えるってことはお母さんにとっては楽しいことだったりもするんですね。そしてペットがドジをふんでコケたりするのを「危ないよ、大丈夫かい?」なんて声をかけるのと同じようにルンバもどきがテーブルの下で立ち往生していたりすると「そっちはだめだよ」なんていいながらルンバもどきを抱えてもっと広々遊べる(彼にしては仕事)に移動してやる。
こうなってくるとペットとどう違うんでしょうね。正確に言えば違いはたくさんありますが、推測するにお母さんの脳内で起こっている反応というのはペットを可愛がる場合の反応にとても近くなってくるんではないでしょうか?
で、思うのは人間がジョブを満たすための消費活動のうち衣食住を除くと一番多いジョブっていうのは「寂しさ」を解消する消費なのではないでしょうか?ルンバもどきは結果的にそのジョブを満たす製品だったということになりますね。そして もしもそのあたりを意識的に積極的に狙うとするとそれも新しいジョブの発見と提供ということになりますよね。
例えばスマホ。これの真の効用ってなんですか?情報収集ですか?便利な仕事道具ですか?身近なクリエイトのための道具ですか?僕はそれらの当たり前すぎる効用だけだったらこれほど爆発的にスマホが普及はしなかっただろうと思います。
なぜこれほどスマホがこれだけ爆発的に普及したのか?それはおそらくルンバもどきと同じように本質的には「人間の寂しさ」を解消また緩和してくれる道具だからだったからではないでしょうか?
そこから考えは少し飛躍しますが近い将来多くの人が小型ロボットのようなものを連れ歩くようになるかと思います。そのロボットは家に帰ればルンバのように簡単な家事もするし、もちろんスマホの機能も有しています。
そして人間の「誰かの世話をしたい」という愛情欲求みたいなものも満足させてくれるように、ときおりドジもするように設計されるのではないでしょうか?天然五号みたいなネーミングのロボットがヒットすると予想します(笑)