天然誤読生活

誤読とそら耳を恐れない書評と音楽レビューとトンデモ理論を書き散らすハートに火をつけて(くれるかもしれない)ブログです。

速読実践9 【母の記憶に ケン・リュウ】その1☆速読からオートマチックで熟読へギアチェンジ

最近速読を試しているわけですが、すこし心配なことがあります。速く読もうとして、表面だけなぞるような薄っぺらい読書になってしまわないか?

せっかく出会った本の旨味を味わえない読書になってしまうのではないのか?

それは食感や深い後味が目玉の、美味しい料理をろくに噛まずに、次から次へと胃袋の中に流し込んでいるだけみたいな読書になってしまうのではないのか?

ところが、今回読んだケン・リュウの小説でその考えは違うのかもなぁと思いました。といいますのは・・・。

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 
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速読実践8【孤島の祈り】☆サバイブのために有利なのはポジかネガか?

サバイバル物は昔から好きでたくさん読んでます。このブログに書いたものだと、こちらのロビンソン・クルーソー

lifeofdij.hatenablog.com

それから火星の人。

lifeofdij.hatenablog.com

ロビンソン・クルーソーが昔の話、火星の人が未来の話しなわけですが、今回読んだ【孤島の祈り】は、現代の人間が究極状態に置かれるとどうなるのか?をフィクションとして書いているサバイバルストーリーです。

孤島の祈り

孤島の祈り

 

これはちょっとすごい本ですね。読んでるとノンフィクションなのか?と思うくらいに細部の表現にリアリティがあるんですよ。著者が海洋冒険家であり、実際に女性で初めてヨットでの世界一周旅行を成し遂げられた方であるからこそ書ける臨場感かと思われます。私個人としては面白い本かと思いましたが、ショッキングなものが苦手な方にはあまりお勧めはできないかもしれません。で、どんな話かといいますと・・・。

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速読実践7【風の歌を聴け・1973年のピンボール・羊をめぐる冒険】小説を速読する意味はあるのか?

鉄板ってありますよね。エンタメでいうと、いつ観ても聴いても何度でも楽しめるもの。映画でいうとゴッドファーザー1と2。音楽で言うと60年代後半あたりのBeatlesとRolling Stonesのアルバム。で、小説の鉄板っていうのは自分的には村上春樹「鼠三部作」なんですよ。

はじめて読んだのは高校生の頃ですが、それから本当に何回も読み返しているんです。で、その時その時でそれなりに面白い。それなりってのがまた良いんですね。この三部作は。爆発的に感動するとかではないんですけどね。なんとなくするすると読み切ってしまう。何度も何度も。

でも、それなりに時間もかかってしまうんですよね。小説を3つも連続で読み切るというのは。

で、速読したらどのくらいの時間で読めるんだろう?速く読んだら面白さは半減するんだろうか?そもそも小説を速読する意味はあるのだろうか?という疑問が浮かんできたので、今回はこの鼠三部作を実際に速読で読んでみました。結果的には・・・

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

 
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速読実践6【メイキング・オブ・勉強の哲学】☆哲学とはあるあるネタ探しなのかも?

一般に、世の中には「勉強フォビア(恐怖症)」があります。多くの親は子供に「勉強しなさい」と言いますが、それは実際には、ほどほどに、である。ほどほどに勉強して、社会にうまく適応してほしい。勉強しすぎて、やばいやつにはなってほしくないのです。

【メイキング・オブ・勉強の哲学】p20

世の中にはこんな感じの言われてみれば確かに!!っていう言葉がありますよね。

例えばこんなまとめサイトがあります。

matome.naver.jp

で、世の中にはそのような言語化されていない「確かに!」を見つけて、商売のネタにしている人もいます。例えばあるあるネタが得意なお笑い芸人や、時代の欲望や気分を言葉にするコピーライターとか・・・。

そして哲学者っていうのも、そういう視点でみると、お笑い芸人やコピーライターと近い職業なんじゃないかと思うんですよ。

ゼロから理屈をひねり出すのではなくて、すでにあるんだけど、言語化されていないなにものかに名前を付けてやるってのが、哲学者の主な仕事なんじゃないかなぁなんて思うんですね。例えば哲学者の名言を集めたこのまとめ。

matome.naver.jp

どれも、なるほど〜、と思うものばかりです。

大きな恩恵は、感謝を生み出さない。

なんて言葉は刺さりますね〜。本当に「確かに!」って思っちゃいます。

で、なぜ、刺さるのか?というと、その言葉を聞いて納得できるから。

つまりその言葉が表す事象を聞く方もすでに体感しているから、ということなんでしょうね。

というようなことを考えたのはこの本を読んだからです。ということでこちらが速読実践の6冊目。

メイキング・オブ・勉強の哲学

メイキング・オブ・勉強の哲学

 

 この本は2017年4月に出版されたこの本のメイキング版ということです。

勉強の哲学 来たるべきバカのために

勉強の哲学 来たるべきバカのために

 

 この【勉強の哲学 来るべきバカのために】という本もなかなか面白い本でした。冒頭に引用した文章みたいな、まさに誰も口にはしない本音を明快に言葉にしていて楽しませてくれる本でした。だけど私的には今回読んだメイキング版のほうが興味深く読めたのです。なぜかといいますと・・・。

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速読実践5【暴力の人類史上 スティーブン・ピンカー】☆ビル・ゲイツ愛読書を速読できるか??

なぜ、山に登るのか?「それはそこに山があるからだ」という言葉があります。

私が本を読む理由はその感覚に近いのかもしれないなぁと思うことがあります。

あんまり目的ってないんですよね〜。勉強のために読むとか、何らかの行動をするために読むとかではないんですね、たぶん・・・・・・。

なんだろう?食欲、睡眠欲、性欲の次ぐらいにある根源的な欲求みたいな感じ?

三大欲求のように生きていくのに必要不可欠とまではいわないですけれど、なんとなく読まずにはいられない、だから読む・・・みたいな。

で、そんな4番目の欲求を持っているもので、読みたい本というのは無限大に増殖していきます。なので少しでもたくさん読めるように読書術を研究しているわけです。

ということで自己流速読術研究の5冊目です。

今回読んだのはこちら。

暴力の人類史 上

暴力の人類史 上

 

 読もうとしたきっかけはこちらの記事を読んだからです。

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速読実践4【悪名の棺 笹川良一伝 工藤美代子】

実践的な速読を研究中です。今回読んだのはこちら。

悪名の棺 笹川良一伝 (幻冬舎文庫)

悪名の棺 笹川良一伝 (幻冬舎文庫)

 

 この本はかなり面白い一冊でした。私の世代からすると、笹川良一さんという人物はTVコマーシャルの「一日一善」「人類みな兄弟」のおじいちゃんというイメージでした。

www.youtube.com

ところがこちらが年齢を重ねていって、世間のことを少しずつ知っていくと、あの人類みな兄弟のおじいちゃんは、只者ではなかったらしいぞ、ということに少しずつ気がつきはじめました。しかしその実態はあまり耳に入ることもなくいつの間にか忘れていたわけですが、今回この本を読んで、笹川良一さんという人の破天荒な人生には強烈なほど惹きつけられました。右とか左とか、政治信条みたなものは私あまりよくわからないんですが、とにかくこの人の生き方が濃いんですね。

生涯をエンタメ性強く時系列で追ったこの本を読んでると、ノンフィクションというよりも、本宮ひろ志のマンガに出てきそうなキャラクターの一代記を読んでるような気がしてページをめくる手を止められない。

ということで、さぞ速読も捗ったのか?と思われそうですが、あまりスピードは出なかったようです。以下にデータを記します。

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【オクトーバー:物語ロシア革命】速読したが惨敗!

先日から自己流速読術を研究中です。もともと意識しなくとも速く読める本というものはあります。思うにそれらの本を速く読めるようになってもあまり意味はないと思うわけで、できることなら通常の読書では、読み通すことに時間や集中力が足りなすぎて、結果的に読めない、という本を速読できなければあまり意味がないと思うのです。

ということで、今回は難易度が高そうなこの本を選んでみました。 

オクトーバー : 物語ロシア革命 (単行本)

オクトーバー : 物語ロシア革命 (単行本)

 

この本を書いているのは歴史研究家ではなくて小説家の方です。 そして邦題にも物語とついています。なのでテーマが難解そうなわりには、意外に読みやすいのかな?なんて、ちょっと期待もあったのですが、残念ながらそうではなかったです。

たぶんかなり時間をかけて熟読して、たくさん出てくる登場人物を表などで、別途管理しなければ理解できないレベルの本かと思いました。ロシア革命に関しての予備知識があればまた違うかとも思いますが。

しかし、あえて1行読みの速読で最後まで読了してみました。結果は・・・

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